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映画『ツナグ』死者に会いたいという願いを叶えるファンタジードラマ

映画『ツナグ』は、生者と死者を再開させる仲介人や、死者に会うことを願う依頼人たちの物語。
「ツナグ」とは、死者に会いたい人の依頼を受け、依頼人が希望する死者を呼び出し、依頼人に会うことを死者と交渉する使者のこと。
「ツナグ」である主人公・渋谷歩美(松坂桃李)やその家族、そして依頼人たちの葛藤などが描かれている。

「ツナグ」(使者)は、依頼人と死者を実際に会わせることができる。
この面会は、憑依や伝言のようなものではなく、死者を生前の姿で呼び出して行われる。
「ツナグ」と依頼人には死者の姿が見え、実際に触れることもできる。
死者と依頼人の面会は、日暮れから夜明けまで、ホテルの一室で行われる。
依頼人が死者に会えるのも、死者が生者に会えるのも、一度だけ。
一人の相手と面会すると、生者も死者も他の相手とは面会できない。
つまり「ツナグ」の仲介で会えるのは、生前に一人、死後に一人であり、会えるのは一度だけ。

主人公の渋谷歩美は高校生で、祖母の渋谷アイ子(樹木希林)と二人暮らし。
歩美の両親は、歩美が6歳のときに亡くなっている。
自宅で二人が発見されたときの状況などから、歩美の父親である渋谷亮介(別所哲也)が妻の香澄(本上まなみ)を殺し、後追い自殺したいという噂が持ち上がってしまった。
しかし実際は、「ツナグ」の仕事が関係する事故であった。

歩美は見習いとして、祖母・アイ子の「ツナグ」の仕事を手伝っている。
死者との交渉はアイ子が行い、歩美は依頼人と会ったり、死者と依頼人との仲介役を行ったりしている。
歩美は、見習いを続けながら、「ツナグ」の仕事を祖母から引き継ぐことを決意することになる。
「ツナグ」の仕事をする力は、一族の間で代々受け継がれてきた。
「ツナグ」は、死者と交渉をする際に、青銅でできた鏡を使う。
この鏡を所有するものが使者となり、死者を呼び出して交渉することができる。
使者は、鏡と一緒に力を譲るため、死者と交渉できるのは常に一人。
アイ子は、歩美に使者の力を譲りたいと考えている。

アイ子は、一度、歩美の父親である渋谷亮介に力を譲っていたが、亮介が死んだときに、再び鏡と契約し、使者の仕事を再開した。
アイ子が初めて使者となったのは、兄の秋山定之(仲代達矢)から力を譲られた時だ。
アイ子の実家である秋山家は、財力のある家で、使者の仕事を代々受け継いできた。
使者は依頼人からの報酬を受け取らないので、秋山家が社会貢献として、必要となる経費を払っている。

この映画は、辻村深月さんの連作短編小説を原作にしている。

原作: 辻村深月『ツナグ』(新潮文庫刊)
脚本・監督: 平川雄一
キャスト: 松坂桃李 樹木希林 佐藤隆太 桐谷美玲 橋本愛 大野いと 遠藤憲一 別所哲也 本上まなみ 浅田美代子 八千草薫 仲代達矢
公開: 2012年