小説や映画の鑑賞と物書きの仕事

主なトピックは小説と映画です。作品のあらすじや感想、創作や執筆に纏わることなどを書いています。

村上春樹『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』

この長いタイトルの小説は、6ページで完結する、4、5千文字程度の短い短篇小説です。
初出は『トレフル1981年7月号』。『トレフル』とは、伊勢丹主催のサークルで、会員に配布された非売品雑誌です。
そして『トレフル』掲載の一連の短篇は、『カンガルー日和』という表題で、1983年に平凡社より短篇集として刊行されました。その後、講談社から、1986年に文庫本が発売され、現在は電子書籍も購入できます。短篇集『カンガルー日和』に収録されているのは、18篇のメルヘンチックなショート・ストーリーです。

長いタイトルには、女の子という単語があります。
女の子といっても、彼女の年齢は主人公の「僕」の推測では30歳近く。そして「僕」は32歳です。
このこの短篇小説には、僕と見知らぬ彼女が、原宿の裏通りですれ違ったときの話が書かれています。
主人公の「僕」は、その時のことを振り返り、どのように話しかけるべきだったかを、台詞として考えました。その台詞は2ページ程度の分量であり、台詞というよりは一つの物語のようです。そして台詞として考えた話は、「昔々」という言葉で始まります。
その話の中で、18歳の少年は、16歳の少女に次のように言います。

もし僕たち二人が本当に100パーセントの恋人同士だったとしたら、いつか必ずどこかでまためぐり会えるに違いない。(台詞の一部を抜粋)

少年と少女は、つぎにめぐり会った時に結婚することを誓い合って別れました。そして少年が32歳になり、少女が30歳になった時にすれ違うのです。

村上春樹氏は、この短篇小説を派生させて、『1Q84』を書いたと述べています。これは、話の骨格として取り入れたということでしょう。
1Q84』は、BOOK1、2、3からなる長篇小説であり、ページ数の合計は1,664ページです。