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読書や映画鑑賞などの記録

村上春樹『ノルウェイの森』 昭和の終わりの大ベストセラー

大ベストセラーとなった村上春樹氏による恋愛小説

書下ろしの長編小説『ノルウェイの森』は、1987年に講談社から上下巻で刊行されました。
この物語は、僕という一人称単数で、主人公であるワタナベトオルの目線で語られていきます。
物語は、主人公のワタナベトオルの乗った飛行機がハンブルグ空港に着陸しようとする場面から始まります。

飛行機が着陸を完了したとき、スピーカーからBGMが流れました。
その曲は、オーケストラが演奏するビートルズの「ノルウェイの森」です。
ノルウェイの森」のメロディーは、いつもワタナベを混乱させますが、その時の混乱はいつもより激しかったようです。
混乱の理由は、18年前の1969年に起こった出来事を思い出したからです。
それは、大学時代に愛する女性が自殺したという悲しい出来事です。

37歳になったワタナベトオルは、20歳になろうとしていた頃の忘れられない思い出を振り返ります。
ワタナベは、高校時代にも友人の自殺に直面しています。
ノルウェイの森』は、学生時代の恋愛を描くとともに、生と死についてもテーマにする小説です。

ワタナベは、東京の私立大学に入学し、学生寮に住んでいました。
大学生活を送っていたワタナベは、電車の中で偶然、1年ぶりに直子という女性と再会します。
ワタナベには、高校時代に自殺してしまったキズキという友人がいました。
直子はキズキの恋人だった女性です。
直子は、武蔵野の女子大に通っていて、アパートで一人暮らしをしています。
直子は、恋人の死を受け入れられないまま、新しい生活を始めていました。
偶然再会したワタナベと直子は、その後デートをするようになり、徐々に距離が縮まっていきます。

4月半ばに、ワタナベは直子の20歳の誕生日にケーキを買って、直子のアパートに行きました。
そして、その日、二人は結ばれます。
しかし、直子は突然、姿を消してしまします。
直子は、ワタナベには何も言わずにアパートを引っ越していました。

ワタナベは、神戸にある直子の実家の住所あてに手紙を送りました。
数カ月後の7月に、直子から返事が届きます。
直子は大学を休学して、京都の山の中にある療養所に入っていたのです。
ワタナベは、その手紙で直子が心身のバランスを崩していたことを知ります。

学生生活を送るワタナベは、大学の近くにある小さなレストランで、同じ大学に通う小林緑という女性に声を掛けられます。
彼女は、髪の毛にパーマをかけたが失敗して、4、5センチくらいの長さまで短くしていました。
ワタナベは、緑から演劇史のノートを貸してほしいと頼まれます。
そして、二人は時々会うようになり、次第に恋愛感情を持ち始めます。

ある日、直子からワタナベあてに手紙が届きました。
手紙には、療養所での暮らしが書かれ、また地図も同封されています。
会いに来てほしいという手紙でした。
ワタナベは、直子が暮らす療養所へ会いに行きます。
そこでは、直子の同室人であるレイコという女性と知り合います。
レイコは、ピアニストを目指していたことがあり、ギターも得意です。
レイコは、ギターを弾いてくれました。
その中の1曲が「ノルウェイの森」です。
ノルウェイの森」は、直子が一番好きな曲でした。
その後、直子は療養所で自殺してしまいます。
それは、8月の出来事でした。

ワタナベは、直子を助けることはできませんでした。
ワタナベは、直子の葬儀のあと、1カ月くらいあてもない旅を続けます。
学生寮を出て、一軒家を借りていたワタナベあてに、レイコから手紙が届きます。
レイコは、8年間過ごした療養所を出ることにしました。
二人は、東京駅で久しぶりに再会します。
レイコは、音大時代の友人から、旭川音楽教室を手伝わないかと、誘われていたのです。
レイコは、旭川に行く前に、2、3日東京にいたいので、ワタナベの家で厄介になれないかと話します。
ワタナベは、レイコを自宅に迎えます。
ワタナベは、直子が自殺する前に、レイコに緑のことをうちあける手紙を書いていました。
レイコは、その話を切り出します。
レイコはワタナベに対して、直子の死に対して痛みを感じていることとは別に、緑と幸せになるべきだと話します。
そしてレイコは、二人で直子の葬式をしようと言います。
レイコは、ギターを51曲弾きました。
その中で、「ノルウェイの森」は2度弾かれました。

ギターを弾き終わったあとに、二人はセックスをします。
二人は、その夜に4回交わります。

ワタナベが直子と交わった時も、レイコと交わった時もセックスの様子が描写されています。
村上春樹さんの小説では、登場人物が性について自由な意識をもっていることが多いようです。
ただ、描かれ方は自然であり、男女の関係が美しく、あるいは微笑ましく描かれています。

ノルウェイの森』は、村上春樹さんの自伝的な小説と見られることがあります。
主人公のワタナベトオルの出身地が神戸で、大学入学が村上春樹さんと同じ1968年、しかも演劇を専攻し、学生寮に住むなど共通点が多いからです。
しかし、本人は否定しています。
あくまで、物語の設定になっているだけのようです。

多くの村上春樹さんの小説では、主人公の男性が女性からすんなりと受け入れられます。
これは、主人公の優しい性格や人柄によりもたらされるものでしょうか。

また、『ノルウェイの森』の第2章と第3章は、村上春樹さん自身の短編小説『螢』が下地になっています。
興味のある方は、読み比べてみるとよいかもしれません。