Literary Arts

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映画『万引き家族』血のつながりと家族のあり方

映画『万引き家族』は、東京の下町に暮らす貧しい家族の物語。
柴田治(リリー・フランキー)とその妻・信代(安藤サクラ)は、息子の祥太(城桧吏)を連れて、治の母・柴田初枝(樹木希林)の家で暮らしている。
初枝は夫と離婚している。
実は表向きは治の母・初枝は独居老人ということになっており、同居人がいることを秘密にしている。
治と信代は歳の離れた夫婦だ。
柴田治は日雇い労働者。
柴田信代はクリーニング店工場のパート従業員である。
二人の息子・柴田祥太は小学校に通う年齢だが、通っていない。

また、柴田亜紀(松岡茉優)という女性も、家出をして初枝の家に転がり込んでいた。
柴田亜紀の父親は、初枝の元夫と後妻との子・柴田譲(緒形直人)である。
亜紀には、譲と母親の葉子(森口瑤子)と妹のさやか(蒔田彩珠)という、本当の家族がいる。
亜紀は、初枝の家で暮らしながら、JK見学店という部類の性風俗店で働いている。

5人の住まいは、高層マンションの谷間の古い平屋。
5人は、社会の底辺で暮らしているが、笑顔は絶えない。
ただし、給与と初枝の年金だけでは暮らしていけず、治が息子の祥太を連れて親子で万引きを繰り返している。

ある日、治は近所の団地で、幼い女の子が震えているのを見つける。
女の子は、母親に部屋から閉め出されたらしい。
治は、女の子を以前にも見かけている。
そして女の子を家に連れ帰ってしまう。

その女の子は、ゆり?(佐々木みゆ)と名乗った。
治と信代は、一旦は女の子を家に帰そうとするが、児童虐待を心配した信代を中心に同居を決意。
ゆりは6人目の家族となった。

実際にゆりの父親・北条保(山田裕貴)は、ゆりとゆりの母親・希(片山萌美)に対してDVをしていた。
ゆりの母親・希は、ゆりに対しネグレクトをしていた。
ネグレクトとは、子どもに対しての場合、育児放棄や育児怠慢などを指す。

やがて失踪事件として報じられ、ユリの本名が北条じゅりであることを知る。
柴田家の一家は、ゆりの髪を切り、りんという呼び名を与え、祥太の妹ということにした。
北条じゅり本人も、りんとして生きることを選んだのだ。
そして万引きも手伝う。

映画『万引き家族』は、実際にあった事件をもとに是枝裕和監督が構想に10年をかけて制作した映画。
実際にあった事件とは、親が死亡した後も死亡届を出さずに年金を不正受給していた家族の事件である。
死んだと思いたくなかった、という身勝手で嘘としか思えない家族の言い訳。
是枝監督は、そのニュースに触れて、その言葉の背景を想像してみたくなったとのこと。

更に、家族のかたち、血のつながり、社会についてといった、是枝監督が考え続けてきたことが込められている。
是枝監督は、監督・脚本・編集を務めた。

映画『万引き家族』は2018年に公開された。