文学の心得

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川上弘美『蛇を踏む』端的に言えば変身譚、筆力の評価が高い作品

川上弘美さんの短篇「蛇を踏む」は第115回芥川賞受賞作。初出は『文學界』1996 年3月号。同年に刊行された単行本には、表題作「蛇を踏む」のほか、『野性時代』1996年3月号掲載の「消える」および『文學界』1996年9月号掲載の「惜夜記(あたらよき)」の三篇が所収されている。

芥川賞を受賞した「蛇を踏む」は、題名が示す通り、公園に行く途中の藪で、主人公が蛇を踏んでしまう場面から始まる。主人公の名前はサナダヒワ子。「私」という一人称で書かれている。
以前は女学校で理科の教師をしていたが、身につかず4年で辞め、現在はコスガさん夫婦が経営する数珠屋に雇われ、店番などをしている。設定は現代社会のありきたりな日常生活。だが本作は、蛇が人間になるという変身譚である。

本作のあらすじに関しては、芥川賞選考委員会でも、評価の意見が分かれたが、大方は好意的だった模様。物語展開のうまさなどを評価された。そして、選んだ素材の賛否よりも、筆力を評価する意見が多い。例えば、書き出しの切れ味が鋭いとか、情感をたたえた文章とか。実際にすらすらと読める。