Literary Blog

世の中の動きと文学について

村上春樹『一人称単数』8作からなる短篇小説集、その1「石のまくらに」を読んで

村上春樹氏の短篇小説集『一人称単数』が、文藝春秋から2020年7月18日に発売開始となった。
短篇小説集の刊行は6年ぶりである。
収録されている作品はぜんぶで8作品。
文藝春秋の月刊誌『文學界』の2018年7月号から2020年2月号に掲載された7作品と書下ろしの1作品から成る。
表題作の「一人称単数」が書下ろし。

7月18日に書店で購入したが、時間を取れずに、本日、1作品目の「石のまくらに」をようやく読むことができた。
20ページに満たない短編のため、文章の美しさをじっくりと味わっても30分ぐらいで読める。
『石のまくらに』には、村上春樹氏の自作短歌が8首も織り交ぜられている。小説における短歌の作者は、主人公の「僕」が大学2年生のときにアルバイト先で知り合った女性。

あらすじにはあまり触れるつもりはないが、「石のまくらに」は主人公の僕が大学生のときの一夜を回想しながら語っている作品。
アルバイト先で知り合った女性のことを思い出しながら語るというストーリー展開だ。
「石のまくらに」は、その女性が作った短歌を印刷して自分で製本したと思われる歌集のタイトル。

村上氏は、自身を長篇小説家であると述べている。
短篇や中篇小説は、実験の場であって、得られたものを長篇小説に持ち込んでいるとのこと。
実際に関連性を確認できる小説はある。
村上春樹氏は、エッセイやノンフィックション、翻訳文学なども手掛けている。
しかし小説が特に面白い。短編小説でも同じだ。
なぜなら村上春樹氏の豊かな発想力を感じることができるから。
村上春樹氏の、読みやすくて綺麗な文体も、小説のほうが遺憾無く発揮されているような気がする。

まだ、8作品のうちの1作品しか読んでいないが、次の作品も楽しみである。