文学の心得

言葉について考え、想像力を育み、人生をより豊かに

魅力的な文章を書くためにセンスを磨く、必要なのは文章力と構成力と取材力

文章力、特にライターの文章力に関する本を何冊も読んだ。
ライターに必要な文章力として、共通して書かれているのは、論理的で分かりやすい文章を書くことの重要性。小説家ではないライターは、文学的な表現を要求されることはない。ライターの仕事では、文学的な発想力や抽象的な文章を書く能力を、あまり要求されないのである。
それと、調べることの重要性が書かれていることが多い。ライターの仕事の9割は調べること、などと書かれていることもある。取材の重要性に関しては、ライターに限らず、小説家においても共通することであろう。小説においても、記述に欠陥があってはならない。
読者は知りたくて読むのだから、文章はテーマ(主題)に沿って分かりやすく書かれていることが要求されるのは当然だ。

文章は何が書いてあるかが大切だ。
文章の中身、すなわち内容が重要であることを、忘れてはならない。
そして文章の内容には、「話題」「主題」「題材」という三つの側面がある。
文章を書く際は、先ず話題(トピック)を選び、その話題に関して自分が表現したい主題を決める。
話題選びは、文章の成否に関する最初の鍵。どれほど崇高な主題を抱いても、話題がふさわしくなければ、主題を有効に展開できない。
主題は、自分が表現したい中心的な内容であり、核心部分といえる。小説においては、主題が根幹をなす。主題が幹で、キャラクターやストーリーが枝葉。
そしてその主題を、効果的に伝えるための、材料集めが必要だ。説得力のある文章にするために、材料を揃える必要がある。
材料が集まったら、今度は吟味して取捨選択することになるだろう。むやみに、題材を突っ込んでも良い文章にはならないからだ。ここまでが文章の骨格となる。

骨組みが固まっても、まだ構想を練るという作業が必要だ。
これは、書く前の思考作業である。
簡単に言うと、「起承転結」や「序破急」のことである。
「起承転結」は四部構成。
序破急」は、物語の「発端・経過・結末」あるいは、論文の「序論・本論・結論」と同じ三部構成。
分量に関しては、「序論・本論・結論」であれば、序論2割、本論7割、結論1が標準的な構成。

重要なのは、材料をどのように並べて、どのように構成し、文章展開するかを検討する作業。この作業が不十分なまま、漠然と書き始めると、きちんと相手に伝わらない文章になる恐れがある。

文章展開に関しては、時間的順序、空間的順序、論理的順序などがある。
時間的順序は、一連の出来事を区切り、起こった順に配列する自然な展開。
空間的順序は、対象を視覚的に捉えて整理する方法。地理的なこと、物の形態や構造などの説明に適している。
論理的順序は、一般的な事柄から特殊な事柄へという展開、あるいは概要に触れてから個々の具体的なことを解説するという流れ。
先に易しいことを述べ、後から難しいことを述べる。あるいは、読者の知っていることに触れてから、知らないことを理解させるという説明もある。

因果関係を述べるときは、原因を述べてから結果を述べるのが普通だ。
因果関係がない場合は、配列をあまり気にせずに、列挙すれば済むこともある。
これを「カタログ式配列」と呼ぶ。
しかし、重要性にはっきり違いがある場合は、順不同では未整理な印象になる。この場合は、重要なものから並べる。
ただ、後ろにいくほど論点が軽くなっては、読者が退屈するかもしれない。最後に大事なことを述べた方が、盛り上がることもある。
そのため、どのような読まれ方をする文章かを考えて、配列する必要がある。難しい問題のため、文章を執筆する際は、構想をしっかり練ることが重要だ。

結局は、絶対というルールはないのだ。
もちろん、誤字脱字があったり、捻じれがあったりするような、文章は論外だろう。
一文が長すぎる文章は読みにくい、文末表現が単調にならないようにすべきなども、よく書かれている。
いずれにしても、文章力とともに、深い取材力と構成力は、ライターに常に求められる。
文章作成において重要なのは、どのような内容を主題にして、どのように書くかということになるであろう。

参考文献
中村明『センスをみがく文章上達事典』(出版社: 東京堂出版、発売日: 2016年12月10)