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東野圭吾『探偵ガリレオ』、1998年刊行の人気シリーズ第1弾

ミステリー小説『探偵ガリレオ』は、1998年5月に文藝春秋から単行本が刊行された、東野圭吾さんの著作、ガリレオシリーズの第1作。初出は文藝春秋の月刊小説誌『オール讀物』である。『探偵ガリレオ』には、『オール讀物』に1996年から1998年にかけて掲載された5作品が収録されている。
探偵ガリレオ』は、「第1章 燃える(もえる)」、「第2章 転写る(うつる)」、「第3章 壊死る(くさる)」、「第4章 爆ぜる(はぜる)」、「第5章 離脱る(ぬける)」の、5章からなる。単行本で294ページの分量である。各章が完結する軽めのミステリー小説だが、読み応えがある。第1章から第5章のすべてに、物理学者・湯川学ともに草薙俊平刑事が登場する。

この小説は、警視庁捜査一課の草薙俊平が、奇怪な事件の真相解明のために、天才物理学者・湯川学に助言を求めるとう設定である。草薙と湯川は、学部は違うが帝都大学の卒業生で、親友である。二人には、バドミントン部に所属していたという繋がりがある。
湯川の所属は、帝都大理工学部物理学科第十三研究室。この段階では助教授である。湯川の外見上の特徴は、長身で色白、黒縁眼鏡をかけた秀才タイプ。彼は子供嫌いである。なお助教授の職階は、2007年の学校教育法改正によって廃止され、新たに准教授という職階が新設された。職階の順番は、教授、准教授、講師、助教、助手。
対して草薙は、帝都大社会学部を卒業し、警視庁捜査一課の刑事をしている。彼は理系オンチである。

「第1章 燃える」において、プラズマのことを専門家に聞くために、草薙が大学時代の友人である湯川を訪ねることになった。「第5章 離脱る」の頃には、不可解な事件に遭遇した時に、湯川から貴重なアドバイスを貰っているということは、草薙の所属する班では有名な話になっていた。草薙の上司・間宮係長が、草薙に対して湯川に相談してくるように指示するほどだ。その頃には、彼らは湯川をガリレオと呼んでいた。その事を湯川本人が知ったのは、「第5章 離脱る」の事件のときである。

探偵ガリレオ』は、人気作家・東野圭吾さんの人気ミステリー・シリーズの、記念すべき第1作。東野圭吾さんのミステリー小説は、理系出身の著者ならではの、専門知識を活かしたトリックだけでなく、人物造形にも定評がある。文体も、簡潔明瞭であり、分かりやすく読みやすい。『探偵ガリレオ』は、短編集のような読みやすさもある。読んでおきたい一冊だと思う。