文学の心得

言葉について考え、想像力を育み、人生をより豊かに

三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』女性作家による男性的な男の友情物語

三浦しをんさんの『まほろ駅前多田便利軒』は第135回直木賞受賞作である。単行本の刊行は2006年3月。初出は隔月刊の小説誌『別册文藝春秋』。本作は、2005年1月(255)号から2005年11月(260)号にかけて連載された。単行本が6話から成るのはそのため。本作…

石田衣良『4TEEN』14歳のときの自分を振り返りたくなる連作短篇集

石田衣良さんの『4TEEN』は、2003年に新潮社から刊行された連作短篇集。石田衣良さんは、本書で第129回直木賞を受賞した。『小説新潮』に掲載された6篇と書下ろし2篇の8篇からなる。 基本的には中学生の青春や学校生活などに纏わる物語。爽快な文体が心地よ…

白石一文『ほかならぬ人へ』若い男女の恋愛感情や葛藤などをリアルに描写

白石一文さんの『ほかならぬ人へ』は、祥伝社より2009年に単行本が刊行され、第142回直木賞を受賞した作品。中編二作の作品集である。初出は、かつて祥伝社ムックとして刊行されていた小説誌『Feel Love』。『Feel Love』は、20代女性を主な読者層とする読み…

東野圭吾『容疑者Xの献身』この世に存在することさえ知らなかった愛情表現とは

東野圭吾さんのミステリー小説『容疑者Xの献身』は、2005年8月に文藝春秋より単行本として刊行された。初出は文藝春秋の月刊小説誌『オール讀物』で、2003年6月号から2004年6月号、2004年8月号から2005年1月号に連載されていた。連載時の題名は『容疑者X』…

川越宗一『熱源』人生を全うしようとする登場人物の情熱

かつて樺太の地で起きた出来事を、史実に基づいて描いたフィクション 川越宗一氏の小説『熱源』を読みました。『熱源』は、2019年に文藝春秋から発行され、第162回直木賞を受賞した作品です。樺太(からふと、現在のロシア領サハリン)の地を中心に、明治か…